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網膜の中で最も感度が高く、物を見るときに視野の中心部を担っている部分を黄斑といいます。この黄斑部に穴があいてしまう病気が黄斑円孔です。中高年以降の女性に多く発症します。原因はよくわかっていませんが、網膜に接している硝子体という組織の収縮の影響を受けて自然発生的に発症すると考えられています。自覚症状としては視野の中心部が見えないまたは見づらいといった症状やものがゆがんで見えるといった症状として出現します。完全にできあがった黄斑円孔では、視力は0.1以下まで下がってしまうことがしばしばです。かつては黄斑円孔に対する、有効な治療法はなく経過観察をするだけでしたが、最近は硝子体手術という方法で、黄斑円孔の閉鎖を試みることが可能になってきました。手術を受ける場合は黄斑円孔発症後、数ヶ月以内に受けることが望ましいでしょう。
黄斑円孔から網膜剥離に進展する例は必ずしも多くはありませんが、近視の人の場合は黄斑円孔が原因となって網膜剥離を発症することがあるので要注意です。
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60代以降の高齢者に多くおこる黄斑部の変性疾患です。欧米では高齢者の失明原因として重要な病気で、日本でも近年増加傾向にあり、欧米化した食生活もひとつの要因として推測されています。黄斑部は網膜の中でも非常に重要な部分なので、この部分が変性を起こしてしまうことによって、視力低下やゆがみ、中心暗点(視野の中央部の欠損)などの自覚症状としてあらわれます。20%以上の確率で両眼に発症し、喫煙者では非喫煙者よりも高頻度に発症します。
加齢黄斑変性の詳しい原因については不明の部分も多いのですが、網膜の外側にある脈絡膜という組織から網膜に向かってあたらしい病的な血管(新生血管)が生えてくるためにこのような病気が発生すると考えられています。
治療(1) レーザー治療(網膜光凝固)新生血管が網膜の中心部からすこしでも離れている場合は、新生血管の周囲にレーザーをあてて治療します。しかし、網膜の中心部に新生血管がある場合、ここにレーザーをあててしまうと視力が低下してしまうのでレーザー治療は適応になりません。
治療(2) 手術
硝子体手術という方法で新生血管の抜去や血腫の除去を行う場合があります。
治療(3) 光線力学療法
光感受性物質を静脈から注射して、黄斑部に集積させた後に光照射を行って、新生血管を特異的に閉塞させる方法です。
治療(4) 経瞳孔温熱療法
半導体レーザーを使用して新生血管を照射する方法です。 |