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ここ数年の間に小児の近視進行予防について新しい知見が集積しつつあります。
数年前まではお子さんの近視に対して眼科でできることは適切な眼鏡処方と経過観察に限定されており、効果的な近視進行の予防方法は存在していませんでした。
このような状況下では、藁をもつかむ思いで医学的根拠のない視力回復センター等でのトレーニングを選択する方もいましたが、もとよりこのような民間療法には裏付けとなる科学的根拠が存在せず、効果が期待できるものではありませんでした。
ここ数年のうちに、小児の近視予防に関する研究が急速に進展し、科学的に証明された近視進行の予防方法が次々に報告されています。これらの治療方法の概略について以下に解説します。 |
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以前よりアトロピンという薬剤が近視を抑制する可能性があることは指摘されていましたが、アトロピンを点眼することにより数日間にわたって瞳が開き、ピント調節機能が落ちてしまうため、実際の使用は困難でした。2012年にシンガポールの研究者から、これらの副作用が生じないレベルの極めて低濃度のアトロピン点眼でも近視の進行を抑制することが報告されました。この報告を受けて2019年には日本国内の7つの大学医学部の多施設共同研究により0.01%アトロピン点眼の近視進行抑制効果が発表され、日本人においても低濃度アトロピンが近視の進行を抑制することが証明されました。
低濃度アトロピン点眼の使用により近視の進行を平均60%軽減させると報告されています。
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オルソケラトロジーは就寝中に特殊な形状をしたハードコンタクトレンズを装用することで日中裸眼で過ごすことのできる視力矯正方法です。2015年ごろよりオルソKレンズを使用する小児の近視の進行が少ないことが報告されはじめ、オルソレンズの近視抑制効果が統計的に証明されました。日本国内では筑波大学からの報告等により日本人においてもオルソレンズに近視抑制効果があることが報告されています。またオルソレンズは低濃度アトロピン点眼とは近視抑制のメカニズムが異なるため両者を併用することによって近視抑制効果が増強されることが報告されています。
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2010年代に入り、小児の屋外活動時間と近視の進行に関する新たな研究成果が次々と報告されるようになりました。多くの研究の共通した結論は小児期の屋外での活動時間が長いほど、近視の進行が抑制されるということです。また、実際に小学生を対象として屋外活動時間を増やしたグループと増やさなかったグループを比較検討する研究(介入研究)を行い、屋外活動追加群で近視発症率が低かったことが報告されています。なぜ屋外活動が近視の発症に影響するのかは解明されていませんが、一部の研究者は特定の太陽光の波長が近視進行抑制に影響を及ぼしている可能性を示唆しています。 |
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