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閉塞隅角緑内障では緊急のレーザー治療や手術が必要になる場合がありますが、ここでは一般的な開放隅角緑内障(正常眼圧緑内障を含む)の治療方針について解説します。
緑内障の治療は点眼薬による薬物療法が中心になります。 たとえ眼圧が正常範囲内にあっても、視野障害が進行しないようにできるだけ眼圧を下げることが治療の原則です。
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外来での検査の結果緑内障(開放隅角)との診断になった場合、極端に高い眼圧でないかぎり、いきなり点眼を処方せずに、通常の眼圧がどれくらいのレベルにあるかを、外来で測定します。通常の眼圧の平均レベルをベースラインと呼びます。人によっては朝と夜で眼圧レベルがことなる日内変動を示す場合があるので、異なる時間帯を選んで測定する場合もあります。おおよそのベースラインが測定できたら、まず片眼のみに点眼薬を使用してみてその点眼薬の効果を判定します。おおまかに目標眼圧をさだめて、そこまで眼圧が下降するかどうか外来で定期的に検査します。
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点眼による治療での目標眼圧をどれぐらいに設定するかはケースバイケースで確実な基準といえるものはありません。しかし、おおまかな目安として開放隅角緑内障では初期で19mmHg未満、中期で16mmHg未満、後期で14mmHgというレベルが提唱されています。また、正常眼圧緑内障では治療前の眼圧の30%以上下降できれば、視野障害の阻止に有効であるとする報告があります。これらのレベルが治療のうえでの目標眼圧となりますが、目標眼圧までコントロールできても、視機能障害が進行するようであればさらに低い眼圧を目標眼圧として再設定しなければなりません。
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近年、緑内障の薬物療法として視神経循環改善や視神経賦活療法などの可能性が示されつつありますが、現在なお効果に関する確証が不充分です。あくまでも、緑内障の薬物療法は点眼による眼圧下降が基本となります。最近になりさまざまな緑内障点眼薬が開発されひと昔前とは薬剤の選択がかなり異なってきました。
主な点眼薬は以下の通りです。
●プロスタグランジン関連薬(キサラタン®、トラバタンズ®、タプロス®、ルミガン®)
現在使用可能な薬剤のなかで最高の眼圧下降作用を有しています。第一選択の点眼として広く用いられています。全身的副作用はほとんどありませんが、虹彩色素沈着、睫毛多毛などの局所副作用が生じることがあります。
●ベータブロッカー(チモプトール®、ミケラン®)
キサラタンに次ぐ眼圧下降作用があります。従来1日2回の点眼が必要でしたが、近年1日1回の長時間作用型が開発されました。血中に移行して全身的な作用をおよぼす可能性があるため、喘息、心不全などのある方には使用できません。
●炭酸脱水酵素阻害剤(トルソプト®、エイゾプト®)
特に目立った副作用はありませんが、眼圧下降作用はやや弱く、他の点眼の補助として用いられる場合が多い点眼です。
●α2作動薬(アイファガン®)
房水産生抑制とぶどう膜強膜流出路からの房水流出促進作用があります。
●ROCK阻害薬(グラナテック®)
比較的最近になり国内で開発されたお薬です。線維柱帯流出路からの房水流出を促進します。
また最近になり上記の複数の治療薬をひとつのボトルにまとめた配合点眼薬が多数開発されています。複数の点眼薬を使用されている患者さんにとっては配合点眼薬を使用することによって点眼の回数を減らせるというメリットがあります。
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緑内障の治療は点眼薬によって眼圧を下げることが基本になりますが、点眼だけでは充分に眼圧が下がらない場合や、点眼を追加しても視機能低下の進行を抑えられない場合は手術が必要になります。手術は目や全身への負担も大きくなりますので、医師の説明をよく聞き、手術のメリットやデメリットまた、起こりえる合併症をよく理解してから治療を受ける必要があります。
手術においても、より眼圧を下げることが治療の目的となります。最も一般に行われるのはトラベクレクトミー(線維柱帯切除術)という手術で目の内から外へ房水排出のバイパスを作成することによって、眼圧を下降させようとする術式です。また、房水の出口である線維柱帯を切開するトラベクロトミー(線維柱帯切開術)も房水の流出抵抗を下げて眼圧を下げようとする方法です。また近年,低侵襲緑内障手術(MIGS)が開発されています。小さなステント(金属製の管)を線維柱帯という部分に挿入することによって眼の中の水(房水)が排出されやすくなる処置などが低侵襲緑内障手術です。
ただし、ときに手術によって視力がよくなるのではと期待される方がいらっしゃいますが、緑内障の手術は視機能を改善させるわけではなく、あくまでも眼圧を下降させて視機能の悪化を防ぐことが目的です。
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緑内障の患者さんから普段の生活で気をつけなければならないことは何ですか?という質問をよく受けますが、特に緑内障に効く食べ物などというものはなく、日常で絶対にしてはいけないことなどもありません。バランスのとれた食生活で、過労やストレスを避け、適度に運動をして快活に過ごしていただくことが重要です。
しいて言うならば、
(1)点眼などは医師の指示通りつけること
(2)医師の指示通り定期検査を受けること
はどうしても守らなければなりません。
もしも点眼を時々忘れたりしていた場合は「だいたい8割ぐらいは点眼していましたが、ときどき忘れてしまいました」などと、正直に報告することが大切です。それによって医師はこのままの治療を継続するか、他のお薬を追加するかを決定しますので点眼状況は正直に報告しましょう。定期検査の目安は眼圧や病気の重症度によって異なりますが、一般には月1回程度の眼圧検査と4ヶ月に1回程度の視野検査が必要です。
適度のアルコール摂取は問題ありません、しかしビールなどを一度に1リットル以上摂取すると多少眼圧が上昇することが報告されています。
コーヒーなどのカフェイン類も適度の摂取であれば問題ありません。しかし、喫煙は血液循環を悪化させるので、できるだけ控えたほうが賢明です。
また、一部の市販薬などで、「緑内障のひとは服用前に医師に相談すること」と添付書に記載されているものがあります、緑内障の種類によって内服の可否が異なりますので、これに関しては担当医に御相談ください
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