白目の表面は結膜という半透明な組織で覆われていますが、その奥の白目自体を構成している組織が強膜です。強膜の表層でおこる炎症が上強膜炎で、炎症の原因は不明のことが多いのですが、治療にはよく反応し、非ステロイド系消炎剤やステロイド点眼などを治療に用います。 さらに深い部分の炎症は、強膜炎といい、上強膜炎よりも頻度はかなり低いものの、より難治性になります。
ぶどう膜は眼球の内側で主に網膜への血液の供給を担っている組織です。ぶどう膜炎の症状としては、充血、かすみ、眼痛、視力低下などがあります。治療はステロイド点眼やステロイド剤の結膜下注射などがありますが、ケースによってはステロイド剤の内服を使用する場合もあります。 ぶどう膜炎の原因は不明の場合のことが多いのですが、全身的な疾患に合併して生じていることもあるため、胸部レントゲン検査や血液検査、皮膚疾患の有無などをチェックする必要があります。全身疾患に合併するぶどう膜炎の原因としては、サルコイドーシス、ベーチェット病、原田病などがあります。
全身のさまざまな臓器に結節ができる病気です。原因の詳細はまだわかっていません。若年の男女と40歳以上の女性に多くみられます。眼症状としては、かすみ、充血、眼痛、視力低下、飛蚊症などとしてあらわれます。肺のリンパ節にも高率に結節を形成するので、診断には胸部のレントゲン撮影が欠かせません。診断を確実にするために血液検査も行います。網膜での血管炎の状態を把握するためには蛍光眼底検査を行います。 眼科での治療はステロイド点眼、ステロイド剤の結膜下注射、ステロイド剤の内服などを症状や所見の程度に応じて使用します。慢性的に再発を繰り返すケースも多いため、長期的な経過観察が必要になります。
ベーチェット病は若壮年の男性に多く、ぶどう膜炎を繰り返して、難治性で失明率の高い疾患です。 症状としては(1)外陰部潰瘍 (2)口腔内アフタ (3)ぶどう膜炎 (4)皮膚の発疹が4主徴とされています。これらの4主徴が必ずしもすべてそろうわけではありませんが、ぶどう膜炎は発作的に再発を繰り返し、徐々に視機能が障害されてしまいます。 ステロイドの全身投与は、中止後に発作を再度誘発してしまうために使用せず、コルヒチンという薬剤が治療に用いられます。
ぶどう膜炎による視力低下、眼痛、充血とともに頭痛、吐き気、耳鳴り、難聴などを伴う場合があります。メラニンという色素を持った細胞に対して免疫反応を起こしてしまう自己免疫疾患と考えられています。このため発症後に髪の毛が白くなったり、皮膚に白斑が出たりすることがあります。白人には少なく、日本人を含めた有色人種に多く、若年から中年に多い病気です。造影剤を用いた蛍光眼底検査で特徴的な漿液性網膜剥離像を示すため、確定診断に有用です。治療はステロイド剤の局所投与または全身投与を行います。数ヶ月以内に回復する症例が多いのですが、再発を繰り返して予後不良となるケースもあります。